物理・科学的調査

物理・科学的調査

付着力測定【建研式単軸油圧式引張り試験法】

目的

既存仕上材の貼りタイル、吹付タイル、塗装等の下地に対する付着強度の劣化度を判定します。

概要

既存仕上材(タイルや塗装面)等の劣化度を判定する基準のひとつとして、仕上材等と下地との接着力(付着力)を測定します。この結果は補修方法を検討するデータになると共に、建物に発生する各故障の原因を考察する際の重要なバックデータとなります。

方法

任意に調査箇所を選定し、エポキシ系接着剤にてアタッチメントを取付け、更にアタッチメントと試験機本体を接続し、油圧にてアタッチメントを引張って行きアタッチメントが外れた時点の数値を測定します。

試験

試験によって得たデータを基に、既存仕上材の下地に対する付着強度の劣化度を判定をします。

シーリング材硬度・物性測定【ダンベル物性法】

目的

既存シーリング材の「硬さ」や「品質」を測定し、劣化度(硬化度)を調査します。

概要

コンクリート打継目地部や窓廻り等の開口部におけるシーリング材は、充分な防水機能が必要であり、シーリング材の故障や劣化は建物内への漏水ばかりでなく、やがては躯体コンクリートの劣化へも影響する重大なものです。

方法

既存シーリング部より分析材料としてサンプルを採取し、ダンベル用試験片として精密に厚みを測定、又引張試験機を用いて試験し、50%引張応力・最大引張力・破断時の伸びを記録後、JIS-A硬度計にて測定します。

結果

試験によって得たデータを新設時の数値と比較し、シーリング材の劣化度(硬化度)を判定します。

コンクリートの中性化測定【フェノールフタレイン法】

コンクリートの中性化測定【フェノールフタレイン法】

目的

鉄筋コンクリートの「耐久性」をチェックするために、コンクリートの中性化の進行度合いを測定します。

概要

鉄筋コンクリートは鉄筋の弱点である酸化による錆をコンクリートのアルカリ性で防護させていますが、経年と共に雨、炭酸ガス、塩分等の影響によって徐々に中性化が進みます。中性化が鉄筋の位置まで進行すると防護効果は失われ、やがて鉄筋は発錆等を起こし建物にとって重大な故障を招くことになります。

方法

躯体コンクリート表面の測定箇所をダイヤモンドコアドリルによりサンプルを抜き取り、切削粉等を清掃後フェノールフタレン液を塗布し、化学反応による変色域を把握します。この時変色しない範囲が中性化進行の領域であり、その間隔(深さ)をスケールで測定します。

結果

試験によって得た測定値を基に、中性化進行度合いを算出、集計します。

コンクリー圧縮強度測定【シュミットハンマー法】

コンクリー圧縮強度測定【シュミットハンマー法】

目的

コンクリートの圧縮強度を測定し、現状のコンクリートの品質を調査します。

概要

建物の維持・保全に当って、設計上の必要強度が確保されているか現状を把握する為に調査をします。コンクリートの圧縮強度は、建物の建設・施工時の使用材の水セメント比・気温・湿度等により大幅な差異を生じることから、所定の圧縮強度を有しているか検査することは極めて重要です。

方法

任意に測定箇所を選定し、箇所における測定は30㎜以上の正確な間隔を保ち、周辺を含め16ポイント以上の測定を行う。マーキングしたポイントにシュミットハンマーを押付けると測定数値が記録されます。

結果

各測定箇所の試験数値を基準硬度平均値・材令経年係数等で算出し、コンクリート圧縮強度の判定をします。

鉄筋のコンクリートかぶり厚測定

鉄筋のコンクリートかぶり厚測定

目的

コンクリート内部の鉄筋の位置を探知し、配筋の状態やコンクリートのかぶり厚さを測定調査します。

概要

鉄筋探知器プロフォメーターは、磁気による電圧の変化を利用し、鉄筋の位置を探査する装置です。

方法

磁界を発生する端子を調査箇所に当てることにより、コンクリート内部の鉄筋が反応し、電圧が変化します。これにより鉄筋の位置を確認し、同時に深さがデジタル表示されます。調査箇所は任意に選定し、調査によって得られた位置と数値を記録します。

結果

測定された数値より、配筋状態・かぶり厚さを判定します。

建物赤外線測定【2次元非冷却サーモグラフィー法】

建物赤外線測定【2次元非冷却サーモグラフィー法】

目的

躯体コンクリートとモルタルやタイル、仕上げ材との浮き・剥離部などを調査します。

概要

建物外壁に一定量の日射が当り暖められると、健全な部分より剥離で空気層が生じている部分では表面温度はより高くなります。この温度の差異を測定し、故障部を選定します。

方法

温度測定に赤外線装置を用いて建物の外観を各箇所撮影、記録します。

結果

赤外線熱画像の温度差による色別カラー写真より、故障部等を選定します。

コンクリート内部探査【RCレーダー探査法】

コンクリート内部探査【RCレーダー探査法】

目的

コンクリート内部の鉄筋の位置及び鉄筋のかぶり厚を測定します。他に、塩ビ管・空洞なども探査可能です。

概要・方法

電磁波をコンクリート表面から内部に向けて放射すると、内部に浸透した電磁波はコンクリートと電気的性質が異なる鉄筋等から反射され、この反射信号をキャッチすることにより、内部鉄筋の位置・深さを画像表示して、記録します。

結果

鉄筋のかぶり厚は、鉄筋径6mm以上で、0.5~20cmの範囲で測定可能です。

コンクリート内部探査【X線透過試験法】

コンクリート内部探査【X線透過試験法】

目的

コンクリートの内部の配管・ダクト等、埋設物を非破壊にてX線透過撮影し、その種類・位置・状態等を把握します。又、コンクリート内部の空洞・ジャンカ等も測定出来ます。

概要

コンクリート内埋設物の撮影は、X線発生装置からX線を照射し、その反対側に貼ったフィルムにコンクリート内部の様子を写し出すというものです。

方法・結果

携帯式X線装置を用いる現場では、コンクリートの厚さの限界は400mm程度です。結果は、撮影後、約20分~30分後にレントゲンフィルムに写しだされ、固有のゲージにより、その位置等が判別出来ます。

ひび割れ深度測定

目的

コンクリートのひび割れはコンクリート躯体が空気中の炭酸ガスと接触したり、雨水が浸水するなどしてコンクリート及び鉄筋の劣化を促進します。そのために、通常はひび割れの幅に加えて深さの測定を行い、鉄筋までの距離を推定して劣化度を調査します。

調査方法

○測定装置:
 ひび割れ深度測定(直角回折波法/超音波測定)に使用した測定器は、東亜エルメス製のエルソニック(ESI-10)を使用します。

測定装置

○測定原理:
超音波試験によるひび割れ深度の測定方法には種々の方法が提案されてますが、本調査では、音速の計算無しに測定可能な、直角回折波法にて測定を行いました。
コンクリート等の弾性体に超音波等の縦波が伝播すると、伝播の先端部で縦波の直角方向に膨張するひずみが生じます。この膨張ひずみの伝播を直角回折波と称します。

ひび割れを挟んで発信センサー及び受信センサーを配置しますと、発信センサーからの入射角90度を境界として、受信センサーでは、直角回折波を第一波として受信する区間と受信しない区間を感知できます。
これらの区間を判別する事により、ひび割れ深度を推定する事が出来ます。

2-2.測定原理

○測定方法

図3-3-1

1) 測定前点検:
測定前に点検用試験体のひび割れ深度を測定し、測定値と実測値を比較して正常な作動を確認します。

2) 測定:
①接触媒質の塗布:
測定面を清掃し、接触媒質を塗布しました。接触媒質は、センサーとコンクリート表面の間に空気が入るのを防ぐためのものです。

図3-3-1

②測定:
ひび割れを挟んで送受信センサーを設置し、距離を少しずつ広げると、センサーがある一定の距離でブザー音が鳴ります。この位置が直角回折波を第一波として受信した位置となるので、ひび割れと送受信センサーまでの距離(a,b)をコンベックスにて測定します。

図3-3-1

③ひび割れ深度の計算:
測定した距離(a、b)を式3-3-1に代入し、ひび割れ深度を計算します。

図3-3-1

3) 測定後点検
測定終了後、測定前と同様に、点検用試験体のひび割れ深度を測定し、測定値と実測値を比較して正常な作動を確認します。

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